今回は肝臓を中医学(東洋医学)から見ていきます。
前回、心臓は「国王」のような存在であるとお話しましたが、肝臓は「将軍」として位置づけられ、精神的に発揚的、積極的な気をもちあらゆる病邪と争う力があるのでこの名前が付けられたそうです。特徴をあげていくと
①血を貯蔵する
これは西洋医学と同じ役割で休息時、肝臓は我々の血液の約10~15%を含みますが、激しい運動や出血など刺激されると、肝臓は収縮し、大量の血液を循環系に放出します。
心臓から肝臓自体への血液供給に加え、消化器系全体の血液が肝臓に流れます。
②筋を制御する
肝は筋や爪、目とも深い関わりがあると言われています。筋(腱・靭帯・筋膜)は肝の血から栄養をもらっているため、蔵血機能が失調して血が足りなくなると、しびれや震えが出ます。血不足のままスポーツをすると、筋が弱っているので怪我をしやすくなります。爪にも異常が出やすく、変形したりスジが出来たりします。目を酷使すると肝の血を多く使うと考えられています。血が足りないと目に栄養を回せないので、目がかすんだり視力が落ちたりします。
③疏泄機能がある
疏泄(そせつ)とは気・血・津液(体液)の動きを調整することを言います。肝は「木」の性質を持ち、木というのは上下にのびのびと伸びていきます。この事を「条達作用」といい、これは肝の臓の持つ、自由に伸びようとする、あるいは外へ発散しようとする性質を表したものであると言われています。
従ってこれらが出来ないと(例えば精神的圧迫等によって)肝の臓を傷る事になり、肝の疏泄障害を起こし、様々な病症を生じていくことになります。特に怒りの感情は肝の臓と深くリンクします。
まだまだ特徴はありますがざっと大きくはこんな感じです。
当院の治療法でもあるオステオパシーメカニカルリンクの触診検査にも肝臓のツボに対応する所があります。「深腓骨神経」という場所で、足の甲側で親指と第2趾の間を足首に向かって押し上げていくと、骨に当たってとまるくぼみがあります。ここは中医学では「太衝」といわれるツボです。ここを刺激すると肝臓の機能を高める効果が期待できます。
ストレスが多い人はここを押さえると痛い人が多いように思います。
次回は五臓の最後になる「脾臓」について書きたいと思います!
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