西洋医学からみた脾臓の機能は老化した赤血球を破壊、除去し、また血小板(血液を凝固する作用があるもの)の貯蔵庫としての働きもあります。通常、脾臓は全血小板数の約3分の1を貯蔵しており、必要に応じてこれを放出します。また、脾臓内にはリンパ球が沢山あり、体内で最大のリンパ器官とも考えられています。このため、免疫機能とも深い関係があります。
対する中医学(東洋医学)では脾臓は、
①統血
②昇清
③運化
という3つの主な働きがあります。
①統血は西洋医学とほぼ同じ働きで、血が漏れないように引き締める働きです。
②昇清は持ち上げる機能のことです。この機能のおかげで内臓が持ち上げられて安定していると考えられています。この機能が落ちると胃下垂や脱肛、慢性の下痢などが起こりやすいと言われています。
③運化は消化・吸収・全身への輸送機能のこと。
中医学(東洋医学)では脾・胃をセットして考え、
「消化」という言葉は、消=胃、化=脾という概念があります。つまり、胃が食物を消化し、脾が消化、吸収された水分や体にとって大事な栄養素を体の隅々まで運化(運ぶ)するというわけです。なので、この働きが弱くなると体の様々な所に不調が出るのは想像しやすいと思います。
また、中医学では「腎」を先天の精(生まれつき備わった生命力ようなもの)、それに対して「脾」を後天の精と名付けています。後天の精とは脾や胃で作り出された栄養分が全身に行き渡り、腎に蓄えられます。要するに、もともと先天の精が弱くても、食養生に気を付ければ、健康は保たれ、先天の精を補うことが出来るということです。このことから中医学ではかなり「脾胃」を重要視していることが伺えます。
当院の治療法でもあるオステオパシーメカニカルリンクの触診検査でも、脾臓に関するツボと対応する場所が沢山あります。その一つに「伏在神経」という足の内側に走っている神経があり、足の甲側の第一中足骨の内側にある「公孫」というツボです。ここを治療することで脾臓の機能を高めることが期待されます。お腹の不調(下痢など)がある場合、ここの皮膚が突っ張っていたり、腫れぼったくなっているように個人的に思います。
以上で西洋・東洋から見た五臓(肝・心・脾・肺・腎)の概念の違いをお伝えしました。
見比べてみると、西洋と東洋で共通の概念もあれば違う概念もあり非常に興味深いものだと思います。特に東洋の「脾」の概念は興味深いものでした!
次回は皆さん一度は耳にしたことがある「陰」と「陽」についてのお話にしたいと思います!
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